2023年本屋大賞作品「汝、星のごとく(凪良ゆう著)」読んでます。もうあと100Pを切り物語は最終コーナーを曲がりました。本屋大賞にノミネートされる本というのは、私にとっては間違いなく面白い作品しかありません。ですからノミネートの段階からこちらの本を選んでいれば間違いがない。私の様なミーハー読者には大変ありがたい賞だなと思っております。
こちらの20203年大賞作品はなぜか手が出せなかった作品でした。絶対に面白いのが分かっているのですが、高校生男女の恋愛であるということや、本の装丁がとても美しく、おっさんが読んで良いものかとか、あるいはどっぷりハマりそうで怖いなど、諸々のことが引っかっていたからです。
勇気を出して手に取ってみたのですが、やはり最初の一行目から引き込まれてページをめくるのが止まらない。高校生の男女の二つの視点で物語は進んでゆくのですが、私とはかなりかけ離れているはずの青春ドラマを見せられているのに、現在の自分の生き方について問いかけてくるというとても大事にしたくなる作品で、やはりどハマりしてしまいました。
古今映画やドラマではあの時こうだったら的な人間誰でも考えることがある「あの人と一緒になっていたら」的ストーリーは多く描かれます。しかしこの作品はそれらのラブストリーとはちょっと違う。この作品の中に流れる「優しいからこそ酷な現代社会」を二人の若者の十数年の人生を通じて炙り出し、読み手に新しい価値観の様なものを生まれされる物語は本当に切なすぎ、素敵すぎる。
これは「令和版『おしん』なんじゃないかな」昭和のおじさん的で恐縮ですが、この作品は2023年にこそ読む価値があり、今をスパッと切り出したナマモノであることは間違いありません。
この時代をどう生きるか、それぞれの中にある疑問をこの作品が掘り起こしてくれるのではないでしょうか。最後まで読むのがちょと怖い今日この頃です。