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585/1000 ごみ収集車が運んできた、夏の思い出 

2025/06/30
585/1000 ごみ収集車が運んできた、夏の思い出 

ごみ収集は、夏が一番きつい。

匂いも強くなれば、重さも増す。

それでもこの季節が来ると、僕の中ではある記憶が蘇る。


今日、すれ違った収集車から、あの匂いがした。

ちょっと甘くて、鼻をつく、あの独特のにおい。

人によっては顔をしかめたくなるような匂いかもしれない。

でも、僕にとっては、誇らしい匂いだった。


40年前の夏休み。

家の窓から、向かいの旅館にごみ収集車が来るのを眺めていた。

作業していたのは、父の会社の若いスタッフたち。

父本人はいなかったけれど、彼らの姿にどこか“父の背中”を重ねていた。


祖母はその時間になると、冷蔵庫から瓶のサイダーを取り出す。

タオルでくるんで、それを収集車の作業員にそっと渡す。

僕は、その冷えたサイダーが飲みたくて仕方がなかった。

でもそれは、いつも、黙々と汗を流す大人たちのものだった。


僕はその収集車に乗ることはなかった。

けれど、その匂いとともに芽生えた憧れの気持ちは、今も残っている。


そして今──

収集車に乗っているのは、僕のスタッフたちだ。

昔の僕が憧れたあの姿に、今は自分の仲間が立っている。

その事実が、どこかくすぐったくて、少しだけ誇らしい。


あの匂いは、何も変わらない。

だけど、それを見つめる僕の立ち位置は、確かに変わっている。


あの夏のサイダーのように、

冷たくて、少し遠くて、だけどちゃんと心に沁みている──

そんな記憶とともに、今年の夏も始まっている。


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