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785/1000 息子とベースを買いに行った話 

2026/01/11
785/1000 息子とベースを買いに行った話 

高1の息子と楽器屋に言った。ベースを買うためた。

私は高校一年のときにギターを始めた。

だから、息子が高校の音楽クラブでベースをやりたいと言った時、始めるには、いいタイミングだと思った。

二人で楽器屋へ行き、壁一面に並ぶギターやベースの前に立つ。息子は急に無口になり、目だけが忙しく動く。何本か触るうちに、一本、やけに手に馴染むものがあった。

値札を見る。

……予算の二倍。

ん〜どうしよう。

一旦、家に帰ろう。

ショップにいると、冷静な判断ができなくなる。これは自分の経験でよく知っている。

家に戻り、妻に相談する。三人で話す。すると息子が、「俺も出す」と言って、貯めていた虎の子を出すと言う。

私はこれまで、何を手にするかで、その後の取り組みが変わる場面を何度も見てきた。

「一本目は妥協するな」

これは、一本目に限った話ではないのかもしれない。

予算も、分相応も、もちろんある。

その中で妥協すると、それは後悔になる。

とくに、趣味の物なら、なおさらだ。

それで、決めた。

一本目にしては、かなり上等なベースを手に入れた。

家に帰ってアンプにつなぐ。

ぼん。

低くて、丸い音。

ここからだな、と思った。

チューニングメーターの使い方、アンプのセッティングやフォームを軽く教える。私がギターを始めた頃は、チューニングができて音が出るようになるまで一か月かかった。それが息子は一時間。


息子の学校で出された課題曲は、モンゴル800の「小さな恋のうた」だという。

発表は、一か月後。

それを見ていた末の娘が言った。

「私、ドラム買ってほしい。」

……なるほど。

うれしい悲鳴、というやつかもしれない。

このベースが、埃をかぶって、しまい込まれるか。

それとも、一生の趣味になるのか。

それは、まだ分からない。

私もかつて、父に連れられて、仙台の楽器屋でギターを買ってもらった。

その日のことを、私は今でもはっきり覚えている。

今日が、息子にとっても、

そんな一日になってくれたらと思う。

私も小さな恋の歌のギターの練習を始めた。
合わせるのが楽しみだ。
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