新聞に掲載されておりましたが、ヨハネス・フェルメールの代表作「真珠の耳飾りの少女(青いターバンの少女)」のあの鮮やかな青のターバンはラピスラズリという鉱石から作られた顔料で、黄色のターバンの原料は牛の尿から作られたものなのだそうです。
この黄色い絵の具となった牛のオシッコは、ベンガル地方の農家が雄牛にマンゴーの葉っぱだけを与え、排泄されたものを精製した絵の具だそうで、その牛は栄養失調で衰弱して死んでしまいます。それゆえ取引禁止となったのだそうですが、現在の製法は違えど、この黄色はインディアンイエローとして使用される色なのだそうです。
またこの絵はコレクターによって丁寧に修復されなければ、あの様な美しい姿を留めておくことはなかったとも言われています。
漆黒の背景に少女の白い肌と白い真珠そしてターバンの鮮やかな青とインディアンイエローのコントラスト、見ていて吸い込まれそうになりますが、それも心ある人物の情熱によって守られてきた美しさなのでしょう。様々なものが折り重なって作品とは生み出され、遺されるのだなと感じました。
今手にしているモノ達にもそれぞれにストーリーがあることでしょう。簡単にモノが手に入る世の中だからこそ、そんなモノへの感謝を忘れてはいけないのだと、ふと思いました。
参考:山形新聞2023年3月26日 文化・芸能面