先週末、仙台に行く用事があり、ついでと言ってはなんですが大好きな機械式(ゼンマイを動力源とした)腕時計を見てきました。今回見せていただいたのはスイスの時計ブランドZENITH(ゼニス)。ZENITHと言えば、1969年に発表した世界初の自動巻クロノグラフ(ストップウォッチ機能)ムーブメント、エル・プリメロです。エル・プリメロは20世紀を代表すると言っても過言ではないアイコニックな存在として君臨したのですが、その後電池式の安価な時計が世界を席巻したことで(クオーツショック)、ZENITHをはじめ多くの機械式時計ブランドは窮地に立たされます。
ZENITHはアメリカの企業から買収され、機械式時計からクオーツ式時計の製造へと方向転換を図りました。そしてエル・プリメロは歴史の表舞台から姿を消したのです。しかし、当時工場長を務めていたシャルル・ベルモは、再び機械式時計が脚光を浴びる日が来るという持論を持ち経営陣に陳情、ただその持論は受け入れられずやはり製造機器・図面やノウハウなどの全てを処分する様に指示されたのです。
そこでシャルルは自身の判断でエル・プリメロに関する全てを工場の屋根裏にたった一人で隠し、その日を待ちました。そしてとうとうその日はやって来たのです。1982年機械式時計ブランドの雄ロレックス社から現在同社の超人気モデルであるデイトナのムーブメントにエル・プリメロを採用したいという話が挙がったのです。
翌年1983年エル・プリメロは10年の眠りから覚め、機械式時計のZENITHは復活。現在でも機械式時計の人気ブランドとして150年の歴史を刻んでいます。あー感激。
企業経営は時代に合わせて方向転換を図ることも必要であり、理想を掲げて伝統を守るとうことも大切だと思います。でも一人の人間の情熱に勝るものっていうのは、他にはないと思うのです!
そんな歴史・ドラマ・情熱も含めて腕に載せることができる機械式腕時計、魅力的なだ〜と改めて感じました。エル・プリメロにメロメロ。店員さんありがとうございます。