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ごみ収集は、夏が一番きつい。
匂いも強くなれば、重さも増す。
それでもこの季節が来ると、僕の中ではある記憶が蘇る。
今日、すれ違った収集車から、あの匂いがした。
ちょっと甘くて、鼻をつく、あの独特のにおい。
人によっては顔をしかめたくなるような匂いかもしれない。
でも、僕にとっては、誇らしい匂いだった。
40年前の夏休み。
家の窓から、向かいの旅館にごみ収集車が来るのを眺めていた。
作業していたのは、父の会社の若いスタッフたち。
父本人はいなかったけれど、彼らの姿にどこか“父の背中”を重ねていた。
祖母はその時間になると、冷蔵庫から瓶のサイダーを取り出す。
タオルでくるんで、それを収集車の作業員にそっと渡す。
僕は、その冷えたサイダーが飲みたくて仕方がなかった。
でもそれは、いつも、黙々と汗を流す大人たちのものだった。
僕はその収集車に乗ることはなかった。
けれど、その匂いとともに芽生えた憧れの気持ちは、今も残っている。
そして今──
収集車に乗っているのは、僕のスタッフたちだ。
昔の僕が憧れたあの姿に、今は自分の仲間が立っている。
その事実が、どこかくすぐったくて、少しだけ誇らしい。
あの匂いは、何も変わらない。
だけど、それを見つめる僕の立ち位置は、確かに変わっている。
あの夏のサイダーのように、
冷たくて、少し遠くて、だけどちゃんと心に沁みている──
そんな記憶とともに、今年の夏も始まっている。