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今日は冬タイヤへの交換を行った。
この季節になると、物置から除雪スコップを出し、タイヤを並べ、軍手をはめる。そのひとつひとつの動作が、冬の訪れを静かに知らせてくれる。
そして必ず思い出すのが、父からタイヤ交換を教わった日のことだ。
免許を取り、初めて自分の車を持った十代の頃。父はとにかく“タイヤだけは絶対に外れるな”と強く念を押し、半ば脅しのように力の入れ方を教えた。
「いいか、レンチは手じゃなくて足で踏め。全体重をかけろ。命が乗ってるんだ。」
父にしてみれば、これが最も確実で安全なやり方だったのだろう。
ただ、初めて一人でタイヤ交換をしたあの日、私は父の言いつけを忠実に守りすぎた。全体重をかけて渾身の力で踏み込んだ結果、ボルトは――見事に千切れた。
後になって知ったが、これは典型的な“締めすぎ”。本来は、トルクレンチで指定のトルクに合わせて締めるという、現代では当たり前の手順がある。力任せではなく、必要なだけの力を、適切なところで止める。それが今のやり方だ。
けれど、タイヤ交換をするたびに思う。あの父の教えは、ただの力技ではなかったのではないかと。
父の生き方そのものだったのだ。
壊れるまで働き、限界まで踏ん張り、家族を支えるために“締めすぎるほど”の力で生きてきた世代。
一方で私は、規定値を守り、無理をしすぎず、壊れる前に止める方法を選ぶ時代に生きている。
どちらが正しいという話ではない。
ただ、ボルトを締める足の感触から、ふと父の背中を思い出す。
全力しか知らなかった父の生き方と、適力を探す今の自分が、冬の気配の中で少しだけ重なり合う。
今年も無事に交換完了。
冬道の備えを整えながら、父の生き方の温かさと重さを、そっと噛み締めた一日だった。