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886/1000 師匠の言葉が届くとき 

2026/04/28

私には、経営者としても、人としても師匠と呼べる方がいる。

もう亡くなって8年が経つ。

コロナがあり、社会の変化があり、そしてAI革命のような大きな波もやってきた。その節目節目で、何度も思った。

こんなとき師匠だったら、なんと言っただろう。

ここ一年は特に壁にぶつかることが多く、やはり相談できたらなあと、そんな思いが心のどこかにずっとあった。

そんな折、ふと一冊の冊子のことを思い出した。

師匠の奥様からいただいたものだ。師匠が大切にしていた言葉がぎっしりと詰まっている冊子だった。

これまでも何度かページをめくったことはあった。けれどそのときは、「いい言葉だな」と思う程度で、どこか遠くから眺めていたような気がする。

ところが最近改めて開いてみると、裏表紙の一文が目にとまった。

「“朝が来ない夜はない”という諺がありますが、朝が来ない夜を私は行くたびか修羅の中で体験してきました」

その続きを読んだとき、はっとした。

そこに並んでいた言葉は、励ましの言葉ではなかった。

成功者の言葉でもなかった。

どん底で震えていたとき、自分で自分を励ますために書き留めた言葉。

そのひとつひとつが「痛痕の譜」だと記されていた。

なるほどと思った。

強い人の言葉ではなく、震えながら歩いた人の言葉だったのだ。

だからこそ今の自分に届いたのだと思う。

師匠はいない。けれど言葉は残っている。

そしてその言葉は、不思議なことに、今の自分に向けて語りかけてくる。

亡くなって8年経っても、こうして励まされている。

私には、今も師匠がいる。

そう思えたことが、とても嬉しかった。
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