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916/1000 新しい看板を待つ町 

2026/05/29
916/1000 新しい看板を待つ町 

今日は月末の集金日だった。

町を回りながら、改めて周囲を見渡してみる。

 

すると、いつの間にか看板が外されている店を何軒か見かけた。

 

「あれ、ここもか。」

 

ついそんな言葉が口をつく。

 

営業している時は当たり前の風景だったのに、看板がなくなると急にその存在の大きさに気付かされる。不思議なものだ。

 

少し寂しい気持ちになった。

 

しかし、その一方で、新しい店の開店準備をしている場所もあった。まだ看板は付いていないが、内装工事が進み、人の出入りがある。

 

閉じる店があれば、始まる店もある。

 

当たり前のことなのだが、その光景を見ていると町そのものが生き物のように感じられた。

 

生き物は終わることが最初からプログラムされているという。

 

もし終わりがなければ、新しい命も生まれず、進化も起きなかっただろう。

 

終わるからこそ、次が生まれる。

 

町もまた同じなのかもしれない。

 

昔、経営の勉強をした時に教わった言葉がある。

 

「企業の目的は顧客の創造である」

 

ドラッカーの言葉だ。

 

利益を上げることでも、会社を大きくすることでもない。社会に新しい価値を生み出し、その価値を必要とする人を増やしていくこと。

 

どんなに歴史のある会社でも、それができなくなれば役割を終える。

 

逆に、新しく生まれる店は、まだ見ぬ顧客との出会いを信じて挑戦を始める。

 

看板を下ろした店も、看板を掲げようとしている店も、その姿は違うようでいて、実は同じ流れの中にあるのだろう。

 

終わりと始まり。

 

衰退と進化。

 

それは対立するものではなく、隣り合わせに存在している。

 

月末の集金日。

 

車を走らせながら見た町の風景が、妙に心に残った。

 

そして私たちの会社もまた、新しい看板を掲げ続けられる存在でありたいと思った。

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