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918/1000 ニヤッとする瞬間 

2026/05/31
918/1000 ニヤッとする瞬間 

朝から息子が落ち着かない様子だ。今日は英検準一級の試験日である。

これまで、キッチンタイマーで時間を測りながら机に向かう姿を何度も見てきた。問題集を開き、単語を覚え、英作文を書いては見直す。その積み重ねの先にあるのが今日なのだろう。

私は試験会場までの送迎を頼まれた。

車に乗り込んだ息子は、何やらびっしり書き込まれたノートを見返している。聞けば英作文についてまとめたものだという。

英作文にはポイントがあるらしい。

①主張が明確であること

②理由が二つあること

③最後に主張を別の言い方で結論づけること

なるほどと思った。

特に私が気に入ったのは「理由が二つあること」だった。

一つだけではなく、もう一つ。

そういえば私は映画や小説でも、そういう仕掛けが好きだ。

何気ないセリフに別の意味が隠れていたり、登場人物の行動に実はもう一つの意図があったりする。初めて見た時には気づかないのだが、後になって「ああ、そういうことだったのか」と分かった瞬間、思わずニヤッとしてしまう。

人の言葉も同じかもしれない。

厳しい言葉の奥に優しさがあったり、ぶっきらぼうな態度の裏に照れくささがあったりする。

物事には、一つだけではなく、もう一つの理由が隠れていることがある。

 

理由が一つしか見えない時は、もう一つ探してみる。

そんな見方ができると、世の中は少しだけ面白くなるのかもしれない。


服装は自由なのに、なぜか制服で試験会場へ向かった息子。

理由は分からない。

けれど、その姿を見て「ああ、本気なんだな」と思った。

英作文の理由は二つ必要らしいが、この制服の理由は一つで十分だったような気がする。
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