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朝9時、街を走る車の窓から見えたのは、一軒の精肉店に続く長蛇の列。鶴岡ではなかなか見ない光景に、思わずハンドルを切りそうになった。そうか、今日は29日、肉の日か。
その瞬間、私の脳裏に浮かんだのはダチョウ倶楽部の寺門ジモンさんだった。芸能界一の肉通として知られる彼は、還暦を過ぎても焼肉で胃もたれしたことがないという。
ジモンさんは言う。脂はちゃんと焼けばパリッと仕上がり、むしろもたれないのだと。肉の質、包丁の入れ方、焼き方。どれもがそろって初めて、一枚の肉は芸術品になる。私のようにカルビを一気にかき込んで翌日後悔するのとは、まるで対極にある世界だ。
そんなジモンさんは、骨董品や時計などのコレクションでも知られている。だが彼はこう語る。
「いい物というのは、手に入れて倉庫に鍵をかけて終わり。結局、預かっているだけなんだよ」
確かに、コレクションは所有の喜びで完結する。いつかは誰かの手に渡る運命を持ち、持ち主は守り人でしかない。
ところが食べ物は違う。目で見て、香りを楽しみ、口に運び、身体に取り込み、自分の一部になる。所有ではなく、体験として完結する唯一の存在なのだ。
還暦を過ぎても肉を愛し、胃もたれ知らずでいられるのは、ジモンさんがこの“完結する体験”を人生の楽しみとして大切にしているからなのだろう。