639/1000 雨雲が近づくたびに
2025/09/02
中学生の頃、担任の先生が言った言葉を思い出す。
「鶴岡は日本で一番、雷が多い地域なんだぞ」
あの頃の私は、なぜだか少し誇らしい気持ちになった。雷が多いことが、この町の特別な証のように思えたのだ。
それから三十年。雷は変わらず多いけれど、この頃は雨の降り方まで変わってきた気がする。降り出したと思ったら、あっという間に川のようになり、今年の夏はとうとう工場まで二度も冠水した。雨雲が近づくたびに、心がそわそわする日が続いている。
けれど幸いなことに、うちには吸引車がある。ピットに溜まった雨水もきれいに汲み上げることができるし、今日のように急なゲリラ豪雨が来ても、スタッフのみんなは当たり前のように土嚢を積んでいた。誰かが指示するわけでもなく、自然と動いてくれる。その姿を見ると、胸の奥がふっと温かくなる。
サイレンが鳴ったり大雨が降り出したりすると、なぜだか血がさわぐ。そんな自分がおかしい。

