908/1000 息子が選んだレコード
2026/05/21
テストが終わって、ようやくゆっくりしている様子だった。
息子はレコードをかけながら、漫画を読んでいた。
流れていたのは、ビル・エヴァンスのライブ盤。
私も隣で一緒に聴いた。
特別な会話があったわけじゃない。
でも、とてもいい時間だった。
昨年、息子の誕生日にレコードをプレゼントした。
その後、プレーヤーとスピーカーも揃えた。
息子と音楽を一緒に聴きたかったからだ。
あれから一年。
息子が初めて自分で買ったレコードが、ビル・エヴァンスのライブ盤だった。
いつもはイヤホンで、一人で音楽を聴いている。
それはそれで今の時代らしい聴き方なのだと思う。
でも、レコードには少し違う空気がある。
針を落とすと、「これちょっと聴いてみて」と、誰かと共有したくなる何かがあるのだろう。
便利さだけならスマホの方が圧倒的だ。
けれど、盤を取り出して、針を落として、スピーカーから音を流す。
その少し面倒な時間の中に、人と同じ空気を共有する余白みたいなものがある気がする。
ビル・エヴァンスを聴きながら漫画を読む息子を眺めていたら、
「こういう時間が欲しかったんだな」と思った。

