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2025/07/14
599/1000 レコードがくれる親子の時間   

今年の息子の誕生日、何を贈ろうかと迷って、ちょっと変化球を投げてみた。

選んだのは、Nujabesのレコード。


いまどきの高校生にレコード? しかもプレーヤーもないのに?

と、自分でも思ったけれど、彼の好きなアーティストだし、なんとなく「これだな」と思った。


手渡した瞬間の反応が今までで一番良かった。

ジャケットを開けて、「うわ、これすんごくいい」と。

普段はスマホのサブスクで音楽を聴いているくせに、「これをレコードで聴くのがクールなんだよ」なんて、ニヤリと笑っていた。


で、もちろんプレーヤーがないわけで。

今、アンプとターンテーブルとスピーカーの入門セットを準備中。

だけど、息子の部屋じゃなくて、リビングに置くつもりだ。


狙っているのは、“一緒に聴く時間”をつくること。

会話があってもなくてもいい。ただ、同じ音楽を、同じ空間で聴く。

そんな時間が、今の親子にはちょうどいいんじゃないかと思ってる。


プレゼントって、モノを渡すことじゃなくて、その先の体験ごと贈ることだと思う。

レコードはその入り口でしかない。

でもそのおかげで、これから一緒に過ごせる時間が少し増えるなら、

それが一番うれしい。


彼が子どもでいてくれる時間は、あと2年半。

レコードの針を落とすその時間が、僕らの思い出になってくれるといいなと思ってる。

2025/07/12
597/1000 整える人として生きる   

20年前、西洋占星術の先生に言われた言葉があります。


「あなたの人生のテーマは “消去と刷新” ですね。」


あのときは正直、よくわからなかったけれど、不思議と今も心に残っている言葉です。


ふり返ってみると、私はずっと「整理」と関わる人生を歩んできたように思います。

ごみ処理や家財整理といった仕事を通じて、

そして会社では、組織や仕組みを見直し整える役割を担ってきました。

地域の団体などでも、自然と「整える人」になっている気がします。


「整理」とは、不要なものを取り除くこと。

けれど、その“不要”を見極めることには、慎重さが必要です。

ときに、それが誰かの大切な思いや、長年守ってきた価値観に触れることもあります。

その過程で、無意識に誰かを傷つけてしまうこともあるかもしれない。

だからこそ、丁寧に、誠実に向き合わなければと思っています。


でも実際には、「ありがとう」と言ってもらえることの方が多い。


私は、生み出す人というよりも、あるものを整え直す人。

混乱や滞りの中から、本来の形や流れを見出していく。

そんな役割が、自分らしさなんだと思っています。


もちろん、整理するというのは簡単なことではありません。

けれど、その過程には面白さも、やりがいもある。


大きな課題も、いきなり全部は動かせない。

でも、細かく分けて、今日できる一歩を進めていく。

そんなふうに、少しずつ整えていく人生なんだろうなと、最近よく思います。

2025/07/10
595/1000 全ての人はオリジナルである。   

すべての人間は、オリジナルだと思う。

誰一人として、まったく同じ人生なんて歩んでいない。

だから、本当は誰かの“正解”をなぞる必要なんてないのかもしれない。


3代目という立場で会社を受け継いでから、

私はずっと「あるべき姿」を探していた。

経営者って、こうあるべき。

リーダーって、こんなふうじゃないと。

そんな“正しさ”に、無意識のうちに振り回されていた気がする。


成功している誰かを見ては、自分に足りないものを数えていた。

けれどある日、ふと気づいたんです。

その“あるべき”は、他人の航海図であって、

私が進むべきルートとは限らないんじゃないか、と。


じゃあ、何を信じて進むのか。

それはやっぱり、自分の心がどこを向いているか。

そして、自分の持ち味。“本領”をちゃんと発揮できているか、なんだと思います。


これからの私は、流れに逆らわず、でも流されもせず、

静かに、自分の中の“芯”を信じて、舵を取っていきたい。

成功を焦って追いかけるのではなく、

与えられた流れの中で、自分らしく在り続けること。


それが、今の私にとっての「正しさ」なんだと思います。


50歳を前にしてようやく、そんなふうに思えるようになった。

これからの人生は、自分の答えを、自分の言葉で語っていこうと思う。

成功しなければ症候群。こうあるべき症候群を超えて。

2025/07/08
593/1000 運は、丁寧な日々の中にある  

人生には、どうしても避けられない出来事がある。

突然の災害、身近な人の病、思いがけない別れ。

努力してきたことが崩れることもあるし、理由のわからない試練にぶつかることもある。


そんなとき、心は簡単に揺れる。

「なぜ、こんなことが起きるのか」

「何を間違ったんだろうか」

そう考えてしまうのは当然だ。


でも、ひとつだけ信じていたいことがある。

人生に起こることには、すべて意味があるということ。


その意味がすぐにわかるとは限らない。

苦しい渦中にいるときは、とてもじゃないけれど受け止められない。

それでも、そんなときこそ大切なのは、目の前の小さなことに心を向けること。


たとえば、挨拶をする。

深呼吸をして、自分の体に意識を戻す。

汚れた場所をひとつ、きれいにする。


そんな些細なことが、やがて心の軸になる。

感情に振り回されそうになりながらも、日々を丁寧に生きる。

ただそれだけのことが、やがて光を呼び込んでくれる。


「運が開ける」とは、

棚からぼたもちが落ちてくるような話ではない。

誰かから与えられるものでもない。


自分の人生を、自分の意思で引き受けること。

その姿勢の先に、運は自然と拓かれていく。


人生の波にのまれそうなときほど、

静かに、丁寧に、小さなことを大切にしよう。

それが、未来を変える力になるから。

2025/07/06
591/1000 カバの目と、一呼吸のちから   

アフリカに伝わるとされる、あるカバの話を紹介したい。


ある日、カバが川を渡っていると、突然、何かの拍子に片目を水に落としてしまった。

それに気づいたカバは、驚き、慌てふためく。

「大変だ、目がなくなった!」

バシャバシャと川の中をかき回し、必死に探す。

水をかき、足で蹴り、あちこちをひっくり返しながら探し続けた。


けれど、目は見つからない。

焦れば焦るほど、川の水は濁り、底は見えなくなっていく。

カバはやがて、息も絶え絶えになり、その場に座り込んだ。


そのときだった。

かき乱されていた川の水が、ゆっくりと静まり、澄んでいく。

濁りが引いて、底が見えるようになったその瞬間、

カバは自分の片目を、すぐそばに見つけたのだ。


焦っているときには、見えるものも見えない。

呼吸おけば、見失っていたものに、ふっと気づけることがある。

そんな教訓を含んだ、静かで美しい寓話だ。


私たちも、日々の生活のなかで、

何かを「なくした」と感じてバタバタと探し回ることがある。

時間や気持ちの余裕、自信、信頼……。

失ったと思って必死になるあまり、

余計に状況を悪くしてしまう。


けれど、そんなときこそ一呼吸。

無理に動かず、まずは立ち止まってみる。

すると、不思議と霧が晴れるように、

本当に大切なことが見えてきたりする。


今日もうまくいかないことがあるかもしれない。

けれど、焦らず、騒がず、カバのようにすとんと座ってみよう。

澄んだ水の中に、思いがけない“答え”が潜んでいるかもしれないのだから。
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